母の突然の入院で気づいた「備え」の大切さ。家族全員で向き合えた相続対策
お悩み

父:83歳(実家で母と二人暮らし)
母:78歳(実家で父と二人暮らし)
長女/相談者:52歳(既婚、両親と別居。実家近くに居住。本記事の語り手)
長男:50歳(既婚、両親と別居。市外に居住)
元気だった母が突然倒れ、パニックになったあの日
私たちが相続について考えるきっかけになったのは、ある夏の日に母が畑で熱中症になり、救急車で運ばれたことからでした。
それまで父も母も本当に元気で、何の不安もなく暮らしていたんです。
どこかで「年齢的には父が先に逝ってしまうだろうし、そのあと母をどう支えようか」とは考えていましたが、まさか元気な母のほうが先に、しかも突然倒れるなんて、1ミリも予想していませんでした。
母はICU(集中治療室。重症患者を24時間体制で見守る場所)に入り、生死をさまよう状態でした。
その一報を受けて、私と弟は急いで実家へ駆けつけたのですが、そこで直面したのは「何もわからない」という現実です。
母の保険証がどこにあるのか、掛けている保険はなにで、保障内容はどういったものなのか。
毎月の生活費はいくらで、どの銀行からどう支払われているのか。
必要なものがどこにあるのかわからず、父と弟と家中を探し回るしかありませんでした。
幸い母の命は助かりましたが、次にやってきたのはお金への不安です。
父に通帳の場所を聞いても「わからない」と言われ、母の意識が戻るまで何も手が出せない状態が続きました。
その間、父の生活にかかるお金は弟がまかないました。
一カ月の入院生活とリハビリを終えて、後遺症もなく退院できたのは本当に奇跡的でしたが、奇跡が起きなかった時のことを考えるとぞっとしました。
このままでは良くない、何かあった時に困らない備えをしよう、と家族全員で向き合うことにしました。
自分たちでも動いてみたけれど、すぐに見えた「素人の限界」
母が退院し、日常生活に徐々に戻り始めた頃、父と母から「この実家をどうするか」という相談を受けました。
母は、長男である弟家族がいずれ転居して実家に住んでくれることを期待したようですが、弟からは「もう今のマンションから離れることはないから、実家はいらない。自分の子供たちに古い実家を引き継ぐつもりもない」という返事でした。私も実家の近くに戸建を所有しているため弟と同じ回答でした。
決定的な回答を得てしまい両親は非常に落胆していましたが、本音を聞けてふっきれたようでもありました。
私たちは「実家を売って、もっと住まいをコンパクトにしたらどうか?例えばマンションは?」と提案しました。実家は敷地300坪、庭が広く季節の花々が綺麗ですが、草取りや水やりなどは大変になっていました。また、家屋はもともと5人で住んでいたところが2人になっているので持て余しており、必要以上の荷物が収納を占めている状態でした。
両親ともに住まいをコンパクトにすることには賛成で、近くなら転居を伴っても良いという意見だったので、信頼できる不動産会社さんに実家を売却する相談したのですが、そこで衝撃的な事実を知ることになります。
私たちの実家が立つ土地はひとつの敷地内に、「線引き前宅地(都市計画が決まる前から住宅地だった場所)」と「市街化調整区域(建物を建てるのが制限されている地域)」が混ざり合っている、非常に特殊な敷地だったのです。つまり、自分たちが思っていたように「すぐ売って、そのお金でマンションを買う」ということが、法律やルールの壁でとても難しいとわかりました。さらに、畑も多いためそれらもどうにか手放せないかを相談していましたが、売れる場所と売れない場所があることもわかってきました。
不動産会社さんには引き続き売却先を探してもらうようお願いしましたが、いくら待っても良い回答はきませんでした。素人の私たちだけではどう動いていいか全く出口が見えなくなってしまったんです。私にも弟にも日中は仕事があります。
父と母が元気な姿でいてくれると、ついつい「また今度でいいか」と後回しにしてしまいがちでした。
でも、あの時のパニックを二度と繰り返したくない。
そんな時に、LIFEFUNDさんの「つながる相続」というサービスを知りました。
いま抱えている心配事を丸ごと相談できるとわかり、家族全員で足を運ぶことに決めたんです。
解決策・ご提案
バラバラだった「資産」と家族それぞれの「気持ち」を整理してくれた
コンサルティングが始まって、まず一番助かったのは「情報の整理」です。
私たちが所有している不動産の情報をすべて洗い出し、どの土地に価値があり、どこを整理すべきかを一覧にしてくださいました。
貸している駐車場からどれくらいの収入があるのか、将来の税金はどうなるのか。
「目に見えない不安」をすべて数値や図にしてくれたので、家族全員が「次に何をすればいいか」を共通して理解できるようになりました。
また、コンサルタントの方は私たちの「揺れる気持ち」にも寄り添ってくれました。
最初は「実家を売って住まいをコンパクトにしたい」と言っていた母ですが、体調が良くなると「やっぱりこの家で最後まで暮らしたい」と希望が変わったんです。
そんな変化に対しても、「では今は暮らしやすさを優先しましょう」と柔軟にプランを立て直してくれました。
実家での生活を快適にするためと、後々私と弟が困らないために、まずは家の中を「片付ける」ことができたのも私と弟にとっては非常に良かったです。
リサイクルショップを活用して不用品を手放したり、大型ごみの日に出したりと、家族全員で前向きに動くことができました。
さらに、銀行口座の問題についても具体的な対策を教えてもらいました。
本人の意識がなくなった時に備える「民事信託(信頼できる家族に財産の管理を任せる仕組み)」という制度を知ったのも大きな収穫です。これによって、もし将来父と母のどちらかが倒れも、入院費の支払いや生活費の管理で困ることはありません。
何があっても大丈夫な「備え」を、一つひとつ着実に積み上げていくことができました。
見えない不安が消え、「やるべきこと」が明確に
コンサルティングを受けたことで、私たちの生活には「安心」という大きな成果が生まれました。
現在は、コンサルタントの方と一緒に以下の準備を進めています。
一つ目は「遺言書(誰に何を引き継ぐかを決めた正式な書類)」の作成です。
誰に何をいくら残すかを明確にした一覧表を作ることで、将来の相続税がどれくらいになるかも見えてきました。
二つ目は「民事信託」の手続きです。本人の意識が確認できなくなると銀行口座が凍結(お金が出せなくなること)されてしまいますが、その心配もなくなりました。
何より大きかったのは、万が一のことが起きた時にどうする?というネガティブな話題に対して、家族全員が遠慮なく意見を出し合えるようになったことです。
なんとなくタブーだった「お金」と「家」の話が、コンサルタントという第三者が入ることで、感情的にならずにスムーズに進むようになりました。
父も母も「自分たちの意思が尊重されている」と感じて安心しています。
大量にあった荷物もスッキリ片付き、実家が見違えるほど身軽になりました。
あの時、何から手をつけていいか分からず途方に暮れていた私たちにとって、道筋を照らしてくれるナビゲーターが現れたような、本当に心強い体験でした。
検討している方へのアドバイス:元気なうちに話す「勇気」を持ってください
相続の話を親とするのは、とても勇気がいることです。
「縁起でもない」と言われないか、機嫌を損ねないか。私自身も母が倒れるまでは、なんとなく避けていました。
でも、いざ「その時」が来てからでは遅すぎます。意識がない親を前にして、保険証一枚探すのも大変な思いをするのは、残された子供たちなんです。
「まだ大丈夫」と思っている今のうちに、家族全員で話し合いの場を作ることをオススメします。
専門家に入ってもらうことで、角を立てずに将来の希望を話し合うことができます。
私たちは母が倒れたことで、図らずもそのきっかけを得ましたが、自分たちで動くには限界があることもわかりました。
相続コンサルタントという存在は、プロの視点で私たち家族に寄り添ってくれ、難しい手続きもすべて引き受けてくれる頼もしい存在です。