2026/05/11
家族の話し合いこの記事でわかること
- 相続が「プラスの財産」だけでなく、借金などの「マイナスの財産」も引き継ぐ仕組みであることがわかる
- 法律で定められた財産を受け取る人の範囲(法定相続人)と、その優先順位がわかる
- 「うちは普通だから関係ない」という思い込みが、なぜ揉める原因になるのかを知ることができる
- 相続税が発生する基準となる「基礎控除」の具体的な計算方法がわかる
- 亡くなった後に発生する手続きの全体的なスケジュールを把握できる
「相続」と聞いて、自分には縁のないお金持ちの話だと感じたことはありませんか?実は、相続は亡くなった方の財産を遺族が引き継ぐことを指し、誰にでも必ず起こり得る身近な出来事です。
衝撃的な事実は、相続で最も揉めやすいのは資産家ではなく、「自宅(実家)しか財産がない」というごく普通の家庭であるという点です。不動産は現金のように1円単位で分けることができないため、準備不足だと家族の絆に深い溝を作ってしまいかねません。この記事では、浜松で多くの相談を受けてきた専門家が、相続の基本と失敗しないための全体像を中学生にもわかるように解説します。

【本コラムの解説】
「つながる相続」相続コンサルタント
大峰 佑月
浜松エリアを中心に年間多くの相談に対応。「相続トラブルの多くは知識があれば防げたもの。発生してからではなく、元気なうちに準備することが大切」と説く。誰もが当事者となる大相続時代において、事前の備えがスタンダードになる社会を目指し、家族に寄り添った対策を提唱している。
相続を一言で説明すると、人が亡くなった時に、その人の財産を遺族が受け継ぐことを意味します。
ここで最も注意すべき点は、対象が「プラスの財産」だけではないことです。現金、預貯金、不動産、株式といった価値のあるものだけでなく、借金やローンの残債といった「マイナスの財産」もそのまま引き継がれます。
もし何も手続きをしなければ、知らないうちに親の借金を背負ってしまうリスクもあります。浜松市内にお住まいの方でも、「実家の土地があるから大丈夫」と思っていたら、実は古いローンの保証人になっていたというケースも考えられます。相続は、「プラスもマイナスも含めたすべてのバトンタッチ」だと理解しましょう。
財産を渡す人を「被相続人」、受け取る人を「相続人」と呼びます。誰が相続人になれるかは法律で決まっており、これを法定相続人といいます。
法定相続人の優先順位は以下の通りです。
例えば、浜松市役所などで戸籍謄本を揃えてみると、思わぬところに相続人が隠れていることが判明する場合もあります。また、離婚した元配偶者や、入籍していない内縁のパートナーには相続権がないという点も重要なポイントです。

「うちは財産が多くないから大丈夫」という考えこそが、実は最も危険です。現在は団塊の世代が後期高齢者となる「大相続時代」に突入しており、どこの家庭でも問題が起こり得ます。
特に揉めやすいのが、財産のほとんどが不動産(実家)であるケースです。
現金であれば1円単位で平等に分けられますが、不動産を分けるのは容易ではありません。
このように、実家に住み続けたい人と、売却を望む人で意見が分かれると、解決の糸口が見えなくなります。一人でも反対する人がいれば、リフォームも売却もできなくなるため、事前の話し合いが不可欠です。

相続した財産すべてに税金がかかるわけではありません。財産の合計が「基礎控除額」を超えた場合にのみ、相続税が発生します。
基礎控除の計算式は以下の通りです。
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の人数)
例えば、相続人が「配偶者と子ども2人」の計3人の場合、4,800万円までであれば相続税はかかりません。

浜松エリアの地価を考えると、市中心部に広い土地や複数の不動産を持っている場合は、この基準を超える可能性が高まります。また、配偶者には「1億6,000万円」または「法定相続分」のいずれか多い方まで非課税になる大きな優遇制度もありますが、これを利用しすぎると将来の「二次相続(配偶者が亡くなった時)」で子どもたちの税負担が増えることもあるため、慎重な検討が必要です。
相続の手続きには、期限が定められているものが多くあります。主要な流れは以下の通りです。
特に、相続放棄の「3ヶ月」という期間は、葬儀や法要に追われている間にあっという間に過ぎてしまいます。まずは「何がどこにどれだけあるのか」という財産の調査を早急に始めることが、失敗しないための第一歩です。

Q1. 相続手続きをせずに放置するとどうなりますか?
A1. 放置すると、将来不動産を売却したりリフォームしたりすることができなくなります。また、2024年から相続登記(名義変更)が義務化されたため、放置すると10万円以下の過料(罰金のようなもの)が科されるリスクもあります。
Q2. 仲の良い兄弟なので、話し合いで解決できるはずですが?
A2. お金が絡むと、それまでの関係性が変わってしまうことは珍しくありません。また、兄弟本人は納得していても、その配偶者が意見を出してくることで話が複雑化するケースも非常に多いです。
Q3. 借金があるかわからない場合はどうすればいいですか?
A3. 被相続人の自宅を片付け、通帳や郵便物(督促状やローン会社からの通知)を徹底的に確認する必要があります。自分たちで調べるのが困難な場合は、専門家に調査を依頼することも一つの手です。
相続は、亡くなった方の財産を遺族に引き継ぐ大切な儀式です。しかし、準備を怠れば家族間のトラブルや税金のペナルティを招く恐れがあります。
「まだ元気だから」と先延ばしにせず、生前のうちに財産の一覧化や、家族での方針確認を行うことが、残される家族への最大の優しさとなります。