2026/07/10
生前対策親が高齢になると、いつかは向き合わなければならないのが実家の相続問題です。
「うちは財産が多くないから大丈夫」と思い込んで対策を後回しにするのは、少し注意が必要です。
裁判所の司法統計によると、遺産分割の話し合いが難航して調停になったケースの約77%が遺産総額5,000万円以下のご家庭です。
これは、特別な資産家でなくても、どのようなご家族にも起こり得る非常に身近な問題であることを示しています。
価値が実家しかないために等分できず、話し合いが長引くケースが少なくありません。
親が健康で判断力があるうちに、実家をどうするか家族で決めておくことが、家族の未来の安心を支える大切な解決策となります。
実家相続の対策を先延ばしにすると、子世代に重い負担を課すことになります。
総務省の住宅・土地統計調査によると、全国の空き家率は過去最高の13.8%に達しています。
親から相続した実家を放置して空き家にした場合、
親から相続した実家を放置して空き家にした場合、2023年(令和5年)12月に改正された「空家等対策の推進に関する特別措置法」注意が必要です。固定資産税の優遇措置が解除され、税額が最大で6倍に跳ね上がる法改正が実施されました。
さらに、誰も住んでいない住宅は急速に老朽化が進み、放火や倒壊の危険が高まります。
近隣住民とのトラブルを避けるために適切な管理を維持するだけでも、年間数十万円の管理維持費や庭木の伐採費用がかかり続けます。

親の財産の大部分が実家のみである場合、遺産の分け方について意見が分かれやすくなります。
預貯金であれば1円単位で分けることができますが、不動産は物理的に切り分けることができないためです。
相続人が複数いる場合、一人が実家を継ぎ、もう一人が何も受け取れない状況になると、公平性の面から話し合いが難しくなることがあります。
「うちには関係ない」と思わずに、分けにくい実家だからこそ、生前に対策方法を模索する必要があります。
実家の相続における不安を解消するには、親が元気なうちに家族で3つの基本方針を決めることが重要です。

まずは実家という不動産を将来的に「残したいか」「手放してよいか」という意思確認を行います。
親自身が最期まで実家に住み続けたいのか、老人ホームなどへの転居を視野に入れているのかを確認してください。
実家に残るつもりがなければ、親の生前の段階で売却して現金化し、将来の施設入所資金や医療費に充てる選択肢も生まれます。
実家を残す場合、最終的に「誰が住んで引き継ぐか」を決定します。
誰も住む予定がない場合は、相続発生後に実家を売却し、経費を引いた現金を兄弟で等分する「換価分割(かんかぶんかつ)」が最も公平な手法です。
誰か一人が住み続ける場合は、その人が他の兄弟に対して相応の現金を支払う「代償分割(だいしょう分割)」の資金があるかを確認します。
実家売却を予定していても、親が認知症になり判断能力を失うと、法律上の契約行為ができなくなります。
これにより、実家の売却手続きや賃貸契約、リフォームなどが一時的にできなくなる「資産凍結リスク」が生じます。
これを防ぐために、親が元気なうちに子供に管理権限を移行しておく「家族信託(かぞくしんたく)」の契約を事前に結んでおくことが極めて有効です。
高齢の親に対して相続や実家の処分に関する話題を突然切り出すと、少し身構えてしまったり、不安を感じさせたりすることがあります。

「亡くなった後のこと」を直接的に話すのではなく、親の快適な「これからの生活」を心配する姿勢を見せます。
「お父さんたちに老後を安心安全に過ごしてほしい」「将来、実家の庭の手入れで困らないように一緒に整理したい」と伝えてください。
親のこれからの安心を守るための対話であることを強調すれば、心を閉ざされることなく、建設的な話し合いを進められます。
お盆や正月などのまとまった帰省シーズンや、実家の片付けを手伝うタイミングが自然な切り出し時です。
荷物の整理をしながら「この家も建ててから何年経つかな」「将来この荷物や家をどう管理していこうか」と世間話のように切り出します。
一度の会話ですべてを決めようとせず、実家の現状把握から少しずつ段階を踏んで意識を共有していくことが成功のポイントです。
ここでは、事前に対策をしなかったために、話し合いが進まず悩んでしまったご家族の実例を紹介します。
都内在住 Aさん(52歳・会社員)には、地方の実家で一人暮らしをしていた82歳の母親と、2歳離れた弟がいました。
母親が突然倒れて亡くなった際、遺産は地方の古い木造一戸建て(評価額1,500万円)と、約200万円の預貯金のみでした。
弟は「実家を売却して、諸費用を差し引いた現金を半分ずつ分けよう」と提案しました。
しかし、Aさんは「生まれ育った大切な実家を他人に売り渡したくない。自分が年に数回戻って管理するから残すべきだ」と考えました。
結局、お互いの意見がまとまらず、母親の四十九日を過ぎても方針が決まりませんでした。

解決策を出せないまま1年が経過した頃、誰も住まなくなった実家の庭木が隣の敷地へ侵入し、苦情が寄せられました。
慌てて業者の手配や枝の伐採費用を支払いましたが、その維持費の負担をめぐって再び意見が分かれてしまいました。
最終的に兄弟間の関係はぎくしゃくしたものになり、お互いに連絡を取りづらい状況を招いてしまいました。
もし生前に母親を交えて「実家を最終的にどう処分するか」の方針を話し合っていれば、このようなすれ違いは防げたはずです。
いざ生前に話し合おうとしても、実家がどれくらいの価値なのか、将来どのくらい税金がかかるのかなど判断に迷うことも少なくありません。また、家族信託などの制度についても、初めて聞く方にとっては内容を理解しながら進めるのは簡単ではありません。
さらに、相続が発生した後には、名義変更や相続税の手続き、土地の確認、実家を売却する場合の準備など、さまざまな手続きが必要になります。それぞれ別々の専門家へ相談しなければならないケースも多く、ご家族にとって大きな負担となってしまいます。
「つながる相続」は、これらの各専門家を取りまとめるワンストップの「総合窓口」として機能します。

私たちは、現状の資産分析から将来のリスク診断、対策の実行までを一貫してサポートします。
不動産の売却・建て替えのご相談をはじめ、遺言書の作成支援や家族信託など、相続に関わるさまざまな手続きをワンストップでお手伝いできることが私たちの強みです。
「何から始めればいいのかわからない」「家族でどう話し合えばいいのかわからない」といった不安にも寄り添いながら、ご家族それぞれの想いを整理し、親が元気なうちから始める将来に向けた準備を、経験豊富な専門家が最後までサポートします。
Q 親が認知症になったら実家の売却はできない?
A:はい、親の意思能力がないと判断された場合、実家の売却契約は原則としてできなくなります。
成年後見人(せいねんこうけんにん)を立てる必要がありますが、家庭裁判所の許可が必要となり、売却まで膨大な時間と費用がかかります。元気なうちに「家族信託」などの対策を行うのが賢明です。
Q 兄弟で実家を「共有名義」にするのはダメ?
A:将来的な意見のすれ違いを防ぐため、あまり推奨されません。
共有名義にすると、将来実家を売却したりリフォームしたりする際、名義人全員の同意が必要になります。さらに将来世代に相続が発生すると権利関係が細分化し、誰も処分できなくなってしまいます。
Q 相談は親と一緒でなければ受けられない?
A:いいえ、子供世代だけでの事前相談も歓迎しています。
「親にどう話せばよいかわからない」という段階でも、プロのカウンセラーが具体的な切り出し方や必要な準備についてアドバイスいたします。まずは現状の課題を整理するために、お気軽にご相談ください。
実家をめぐるご家族間のすれ違いや経済的な損失を防ぐため、まずは「つながる相続」の無料相談をご活用ください。
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